認知症のAさんが教えてくれた、私が25年間忘れられないこと

認知症の高齢女性と介護職員が笑顔で向き合う水彩風イラスト。介護歴25年の実体験を紹介する記事のアイキャッチ画像。 認知症ケア

介護の仕事を始めたばかりの頃、私は重度の
認知症のAさんと出会いました。

当時の私は右も左も分からない新人。

職員でも対応が難しいと言われるAさんの
見守りを、毎日のように任されていました。

正直に言うと、最初は
「どう接したらいいのだろう」と
戸惑うばかりでした。


Aさんとの毎日

Aさんは、家族の顔も認識できないほど
認知症が進行していました。

ご自宅では、不安からご家族に対して
攻撃的になってしまうこともあり、
介護されていたお嫁さんは本当に大変な
毎日を送られていました。

デイサービスでも落ち着かず、

「帰る。」

と何度も外へ出ようとされました。

ある日には、突然怒り出したかと思うと、
椅子を窓へ投げようとされ、その場にいた
職員全員で対応したこともありました。


私が気付いたこと

そんなある日、私はAさんが小さな声で歌を
口ずさんでいることに気付きました。

何の歌だろう…。

そう思って調べると、古賀政男さんの曲でした。

私は歌詞カードを作り、一緒に歌ってみることに
しました。


変化

すると驚いたことに、

Aさんは歌詞カードを見ながら、大きな声で
歌い始めたのです。

歌っている間は表情も穏やかになり、
落ち着いて過ごせる時間が増えていきました。

後日、ご家族から

「最近、家でも歌を歌うようになったんですよ。」

という言葉をいただきました。

その時のお嫁さんの笑顔を、私は今でも
忘れることができません。


私がAさんから教わったこと

新人だった私は、

「認知症になると、何も分からなくなってしまう。」

そんなイメージを持っていました。

でもAさんは違いました。

好きだった歌。

若い頃の思い出。

心が動くもの。

それは認知症になっても、
ちゃんと残っていたのです。

Aさんは私に、

「認知症になっても、その人らしさは
消えない。」

という大切なことを教えてくれました。


まとめ

介護を25年間続けてきましたが、
今でもAさんとの出会いは、私の介護の
原点です。

介護は「できないこと」を見る仕事
ではありません。

その人が大切にしてきた人生や思い出を
見つける仕事なのだと、私はAさんから
教えてもらいました。

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