「何度も同じことを聞かれる」に疲れたとき|認知症の方との関わりで考えたいこと

「何度も同じことを聞かれる場面で、認知症の高齢者に寄り添いながら穏やかに話を聞く介護職員を描いた水彩イラスト」 認知症ケア

認知症の方と関わっていると、

何度も同じことを
聞かれることがあります。

さっき答えたばかりなのに、

また同じ質問。

そして少しすると、

また同じ質問。

そんなことが続けば、

介護職だって
疲れることがあります。

私もこれまで、

「また同じことか……」

と思ってしまったことは
何度もありました。

イライラしたことだって
もちろんあります。

でも、ある頃から、

少し考え方を
変えるようになりました。

同じ質問をされることを、

ただ大変なこととして
受け止めるだけではなく、

時には、そのやり取り自体を
一緒に楽しんでみる。

そんな関わり方を
するようになったのです。

「また同じこと…」と思ってしまうことはある

介護の仕事をしていると、

いつでも穏やかに
対応できるわけではありません。

忙しいときもあります。

ほかの仕事が
重なっているときもあります。

そんな中で、

同じことを何度も
聞かれることがあります。

一度なら、

普通に答えられる。

二度、三度なら、

まだ大丈夫。

でも、

何度も繰り返されると、

「さっきも答えたのに」

と思ってしまうこともあります。

私は、

そんな気持ちまで
無理に否定しなくてもいいと
思っています。

介護職も人です。

疲れることもあれば、

余裕がなくなることもあります。

大切なのは、

イライラしてしまった自分を
責め続けることではなく、

「どうしたら、もう少し
楽に関われるだろう」

と考えてみることなのかも
しれません。

真面目に答えても、また同じ質問が返ってくる

認知症の方から
質問をされれば、

こちらは当然、

その質問に答えようとします。

「今日は何曜日?」

と聞かれれば、

「今日は火曜日ですよ」

と答える。

しばらくすると、

また、

「今日は何曜日?」

と聞かれる。

そのたびに、

同じように答える。

もちろん、

それで安心される方も
いらっしゃいます。

けれど、

どれだけ丁寧に答えても、

また同じ質問が
返ってくることもあります。

そんなとき、

こちらが毎回、

「正しく答えなければ」

と思い続けていると、

だんだん疲れてしまうことが
あります。

あるとき、私もその会話を楽しんでみた

私は時々、

ついさっき会ったばかりの方に、

「どうも、初めまして」

と挨拶することがあります。

すると、

「あら、初めまして」

と返してくださる。

また別のときには、

「久しぶりですね。
何年ぶりですか?」

と声をかけてみる。

すると、

「あら、本当に。
何年ぶりかしら」

と返事が返ってくることもあります。

もちろん、

相手をからかっているわけでは
ありません。

認知症だからと、

馬鹿にしているわけでもありません。

私自身もその会話の中に入り、

その方とのやり取りを
一緒に楽しんでいます。

こちらが現実を説明しても、

必ずしも期待したような
返事が返ってくるとは限りません。

それなら、

その方が今感じている世界に、

こちらから少しだけ
近づいてみてもいいのではないか。

そんなふうに
考えるようになりました。

「また聞かれた」が、「今度はどう返そう」に変わった

不思議なもので、

自分の受け止め方を
少し変えるだけで、

気持ちが楽になることが
あります。

以前なら、

「また同じ質問だ」

と思っていた場面でも、

「今度は、どんなふうに
返してみようかな」

と思えることがあります。

相手が変わったわけでは
ありません。

同じ質問が
なくなったわけでもありません。

変わったのは、

私の受け止め方です。

認知症の方を、

こちらの思う通りに
変えることはできません。

でも、

自分の考え方や
関わり方なら、

少し変えることができます。

そのことに気づいてから、

同じことを何度も聞かれる場面でも、

以前より少しだけ
楽に関われるようになりました。

正しい答えを返すことが、いつも一番大切とは限らない

私たちは、

質問をされたら
正しく答えようとします。

それは自然なことです。

でも、

認知症の方との関わりでは、

正しいことを伝えることが、

いつでもその方の安心に
つながるとは限りません。

本人が感じていることと、

私たちが知っている現実が
違っていることもあります。

そんなとき、

「違いますよ」

「さっきも言いましたよ」

と毎回訂正することで、

かえって不安になったり、

混乱したりすることも
あるかもしれません。

だから私は、

正しい答えを返すことより、
その方が安心できる答えを
考えた方がいいこともある

と思っています。

大切なのは、

こちらが正しいかどうかではなく、

その方が今、

どんな気持ちでいるのかを
考えることなのかもしれません。

「嘘をついていい」ということではない

こういう話をすると、

「認知症の方には
嘘をついてもいいの?」

と思う方もいるかもしれません。

私は、

何でも嘘をつけばいいとは
思っていません。

相手をだまして、

職員の都合のいいように
動かせばいい、

という話でもありません。

特に、

安全や医療に関わることや、

本人の意思に
大きく関わるような場面では、

より慎重に考える必要があります。

大切なのは、

嘘をつくことではなく、

その方が安心して
過ごせる関わり方を探すこと。

言葉だけではなく、

表情や声の調子、

その日の様子も見ながら、

関わり方を考えていくことが
必要なのだと思います。

拒否があるときも、正面から説得するだけが方法ではない

認知症の方の介護では、

何かをお願いしても、

「嫌です」

と言われることがあります。

入浴もその一つです。

「お風呂に入りましょう」

と声をかけた瞬間に、

「入りません」

と言われてしまう。

そんな経験をした介護職は
少なくないと思います。

そこで、

何度も同じ言葉で
説得し続けても、

余計に拒否が強くなることがあります。

私も、

言葉やきっかけを
変えてみることがありました。

大切なのは、

無理に動いてもらうことでは
ありません。

「どう言えば
この方は受け入れやすいだろう」

「今は本当に
入りたくないのだろうか」

「少し時間を置いた方が
いいのだろうか」

と考えてみる。

正面から説得するだけではなく、

その方が受け入れやすい入口を
探してみることも、

介護では必要なのだと思います。

認知症の方の世界に、こちらから少し近づいてみる

認知症の方と話していると、

私たちが見ている世界と、

その方が感じている世界が
違うことがあります。

そんなとき、

いつもこちらの世界へ
戻そうとしなくてもいいのかも
しれません。

「それは違います」

と訂正する前に、

「そうなんですね」

と一度受け止めてみる。

そして、

その方が今いる世界に、

こちらから少しだけ
近づいてみる。

そこから、

穏やかな会話が
生まれることもあります。

笑顔になることもあります。

不安が少し
和らぐこともあります。

介護は、

相手をこちらに
合わせてもらうことだけではなく、

時には私たちの方から
近づいていくことも、

必要なのではないでしょうか。

介護する側が、少し楽になることも大切

介護職は、

「ちゃんと対応しなければ」

と思いがちです。

「正しく答えなければ」

「怒ってはいけない」

「いつも優しくしなければ」

そんなふうに考えていると、

自分自身を
追い詰めてしまうことがあります。

でも、

介護する側が毎回苦しくなっていたら、

長く穏やかに関わり続けることも
難しくなります。

だから、

相手だけではなく、

自分が少し楽に関われる方法を
探すことも、

悪いことではないと思います。

同じ質問をされたとき、

「またか」

で終わらせるのではなく、

少しだけ違う返事をしてみる。

そのやり取りを
一緒に楽しんでみる。

そんな小さな工夫が、

利用者さんだけではなく、

介護する側の心も
軽くしてくれることがあります。

同じ質問を、少し違う気持ちで受け止めてみる

何度も同じことを聞かれると、

疲れることがあります。

イライラすることもあります。

そんなときは、

「また同じことを聞かれた」

という気持ちから、

少しだけ視点を変えてみても
いいのかもしれません。

「この方は今、
どんな気持ちなんだろう」

と考えてみる。

あるいは、

その会話を
一緒に楽しんでみる。

毎回完璧に
対応する必要はありません。

認知症の方を
変えることはできなくても、

自分の受け止め方を変えることで、
介護する側も
少し楽になれることがあります。

正しい答えを探すことより、

目の前のその方が
安心できる関わりを探す。

そんな介護があっても
いいのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました