介護の仕事をしていると、
「もしかして、私
嫌われているのかな」
そう感じることがあります。
ほかの職員には笑顔なのに、
自分にはどこかそっけない。
声をかけても、
あまり反応してもらえない。
そんな日が続くと、
「私の関わり方が
悪いのだろうか」
と、不安になることもあります。
私にも、新人の頃に
なかなか受け入れてもらえず、
どう関わったらいいのか
悩んだ利用者さんがいました。
「私、嫌われているのかな」と感じた新人時代
私が新人だった頃、
同じ日に利用されることの多い
OさんとEさんという
お二人の利用者さんがいました。
お二人はとても仲がよく、
まるで一つのチームのような
強い仲間意識がありました。
そして、
好きな職員、苦手な職員が
とてもはっきりしていました。
新人だった私は、
なかなかお二人に
受け入れてもらえませんでした。
ほかの職員とは楽しそうに
話しているのに、
私が関わろうとすると、
どこか距離を感じます。
「どうしたら
受け入れてもらえるんだろう」
そんなことを考えながら
仕事をしていたのを覚えています。
好かれようとするより、二人をよく見ることにした
そこで私は、
無理に仲良くなろうとするより、
まず、お二人の様子を
よく見ることにしました。
どんなときに困っているのか。
何をしてもらうと
安心されるのか。
どんな声のかけ方なら
受け入れてくださるのか。
お二人が求めていることを
できるだけ考えて、
必要になりそうな支援を
少し先回りして行いました。
特別なことをしたわけでは
ありません。
困っていれば
手を差し伸べる。
必要なことがあれば
手伝う。
そのときできることを、
毎回丁寧に行う。
私は、
お二人への態度を変えず、
丁寧に関わり続けました。
信頼は、すぐにはできなかった
だからといって、
次の日から急に
関係が変わったわけではありません。
何日か続ければ
受け入れてもらえた、
という話でもありません。
2か月、3か月と
時間がかかりました。
それでも、
同じように関わり続けているうちに、
少しずつ、
お二人の表情や
私への接し方が変わっていきました。
そして、ある頃から
「あなたじゃなきゃダメなの」
そんな言葉まで
いただけるようになりました。
新人だった私にとって、
とても嬉しい言葉でした。
あれほど距離を感じていた方から
そう言っていただけたことを、
今でも覚えています。
でも、「好かれたこと」が一番大切だったわけではない
今振り返ると、
この経験で大切だったのは、
最終的に私を
好きになってくださったことだけでは
なかったように思います。
もちろん、
信頼していただけたことは
とても嬉しいことでした。
けれど、
「親切にしていれば
いつか必ず好かれる」
ということを
伝えたいわけではありません。
人と人ですから、
どうしても相性があります。
話しやすい人もいれば、
なんとなく距離を感じる人もいます。
それは、
介護職と利用者さんという
関係であっても同じだと思います。
すべての利用者さんに好かれなくてもいい。けれど、親切は平等に
介護の仕事をしていると、
「利用者さんには
好かれなければいけない」
と思ってしまうことがあります。
でも私は、
すべての利用者さんに
好かれなくてもいいと思っています。
介護職も人です。
利用者さんも人です。
人と人である以上、
相性が合うこともあれば、
合わないこともあります。
利用者さんの側にも、
「この職員とは話しやすい」
「この人とは
少し合わない気がする」
そんな気持ちがあっても
不思議ではありません。
だから、
好かれていないと感じたからといって、
必要以上に
自分を責めなくてもいいのだと思います。
ただ、
そこで一つ大切にしたいことがあります。
相性が合わなくても。
自分のことを
好きではなさそうでも。
少し関わりにくいと
感じる方であっても。
必要な支援を、
変わらず丁寧に行うこと。
「この方は苦手だから」
「私のことを嫌っているから」
そんな理由で、
関わり方や支援の質を
変えてしまうのは違うと思います。
相手によって、
必要な支援は違います。
けれど、
親切さや誠実さまで
変える必要はありません。
私は、
どんな利用者さんに対しても
敬意を持って関わることが、
介護のプロとして
大切なことなのではないかと
思っています。
「どうしたら好かれるか」ではなく、「何を求めているか」
利用者さんとの関係に悩むと、
つい、
「どうしたら
私を好きになってくれるんだろう」
と考えてしまいます。
私自身も、新人の頃は
そうだったのだと思います。
けれど、
振り返ってみると、
OさんとEさんとの関係を
築いていくうえで大切だったのは、
好かれようとすることよりも、
お二人を知ろうとすることだったように
思います。
お二人をよく見て、
「この方たちは今、
何を求めているのだろう」
と考える。
介護で大切なのは、
自分がどう見られているかより、
目の前の方が
何を必要としているのかを
考えることなのかもしれません。
好かれることは、
介護の目的ではありません。
でも、
相手を知ろうとすること。
必要な支援を考えること。
丁寧な関わりを
積み重ねていくこと。
それは、
自分にできることだと思います。
関係は、急いで答えを出さなくてもいい
利用者さんとの関係が
うまくいかないと、
「この先もずっと
このままなのかな」
と思ってしまうことがあります。
でも、
今日うまくいかなかったからといって、
その関係が
ずっと変わらないとは限りません。
OさんとEさんとの関係も、
変わるまでには
2か月、3か月という時間が
かかりました。
人との関係は、
そんなに簡単に
できあがるものではないのだと思います。
そして、
たとえ最後まで
距離が縮まらなかったとしても、
誠実に関わり続けたことまで
否定する必要はありません。
すべての利用者さんに
好かれる必要はない。
けれど、
相手との相性にかかわらず、
必要な介護を
丁寧に届けることはできます。
好かれることではなく、
その方に必要な支援を
考え続けること。
それが、
介護職として
大切にしたい姿勢の一つなのでは
ないでしょうか。


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