生産性向上に関する委員会を
開催することになったものの、
「何を話し合えばよいのか分からない」
「毎回の資料を準備する時間がない」
このように感じている
委員会担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)を目指す
入所・居住系の介護施設に向けて、
3か月に1回、年間4回で取り組める
委員会・研修資料を作成しました。
各回の資料は、
約15分で実施できる構成です。
現場で起こり得る架空事例をもとに
職員同士で話し合い、
確認する内容や担当者、期限を決めて、
次回の委員会で結果を振り返ります。
本記事で紹介する短時間研修は、
委員会での検討や
職員への周知に活用できる内容です。
委員会と職員研修を
同じ日に実施する場合も、
委員会で検討した内容と、
研修で職員に伝えた内容が
分かるように記録しましょう。
研修担当者が準備しやすいように、
PowerPoint・PDF・Word・Excel形式の
資料を用意しました。
この年間研修資料でできること
この年間研修資料は、
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)を目指す施設が、
現場の課題を見つけ、
改善の結果を振り返るまでを
年間を通して進められる構成です。
- 3か月に1回、年間4回の計画で取り組める
- 1回約15分で実施できる
- 入所・居住系の介護施設で活用できる
- 一般的な架空事例をもとに話し合える
- 自施設の困りごとに置き換えて活用できる
- 現場の困りごとを具体的に整理できる
- 担当者・期限・実施結果を記録に残せる
- PowerPoint・PDF・Word・Excelを活用できる
年間4回の研修では、
次の流れで改善活動を進めます。
- 現場の小さな困りごとを見つける
- 業務の状況を見える化する
- 小さな改善を試してみる
- 改善の結果を振り返る
研修を一度実施して
終わりにするのではなく、
「課題を見つける」
「現状を確認する」
「改善を試す」
「結果を振り返る」
という流れをつくることが大切です。
それぞれの資料は、
施設名や担当者名、実施日などを入力し、
自施設の状況に合わせて
内容を変更できます。
架空事例を自施設の困りごとに置き換えてください
本資料に掲載している事例は、
研修の進め方をイメージしやすくするための
一般的な架空事例です。
そのまま使用することもできますが、
実際の研修では、できるだけ
自施設で起きている困りごとをもとに
話し合ってみてください。
例えば、次のような困りごとです。
- 必要な物品を探す時間が多い
- 申し送りに時間がかかっている
- 同じ内容を複数の場所に記録している
- 介護機器を十分に活用できていない
- 特定の時間帯や職員に負担が集中している
- 利用者さんを待たせることがある
実際の課題を取り上げることで、
研修での話し合いを、
「自分たちの施設ではどうするか」
という具体的な改善活動へ
つなげやすくなります。
ただし、話し合いは
特定の職員の責任を追及する場ではありません。
「誰が悪かったか」ではなく、
「どのような状況で起きているか」
「業務の流れや仕組みを変えられないか」
という視点で検討しましょう。
利用者さんや職員の事例を扱う場合は、
個人を特定できる情報を必要以上に
資料へ記載しないようにしてください。
自施設の課題が
まだ整理できていない場合は、
最初は資料に掲載している
架空事例を使って構いません。
研修を進めながら
現場の困りごとを集め、
次回以降の話し合いに
取り入れていきましょう。
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)とは
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)は、
介護ロボットやICTなどを活用しながら、
利用者さんの安全と
介護サービスの質を守り、
職員の負担軽減に取り組む事業所を
評価する加算です。
介護現場における生産性向上は、
単に仕事を早く終わらせたり、
職員の人数を減らしたりすることでは
ありません。
業務の無理や無駄を見直し、
利用者さんに向き合う時間を
確保していくための取り組みです。
加算(Ⅱ)の主な算定要件
主な算定要件は、次のとおりです。
- 生産性向上に関する委員会を3か月に1回以上開催する
- 利用者さんの安全とケアの質を守るための対策を検討する
- 職員の負担軽減や勤務状況に配慮する
- 介護機器の定期的な点検を行う
- 介護機器を安全に使用するための職員研修を行う
- 生産性向上ガイドラインに基づく改善活動を継続する
- 対象となるテクノロジーを1つ以上導入する
- 1年以内ごとに1回、取り組みの実績データを提出する
委員会には管理者だけでなく、
実際にケアを行う職員なども参加し、
現場の意見が反映されるように
進める必要があります。
委員会では、主に次の4つについて
検討と確認を行います。
- 利用者さんの安全とケアの質の確保
- 職員の負担軽減と勤務状況への配慮
- 介護機器の定期的な点検
- 職員に対する研修
詳しい算定要件は、
厚生労働省「生産性向上推進体制加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)の解説」で確認できます。
加算(Ⅰ)との違い
加算(Ⅰ)は、
加算(Ⅱ)よりも進んだ取り組みが
求められる上位区分です。
主な違いをまとめると、
次のようになります。
| 項目 | 加算(Ⅱ) | 加算(Ⅰ) |
|---|---|---|
| 単位数 | 10単位/月 | 100単位/月 |
| テクノロジー | 対象となる3種類のうち1つ以上 | 原則として3種類すべて |
| 職員間の役割分担 | 算定要件には含まれない | 介護助手の活用などが必要 |
| 改善成果 | 算定開始時の成果要件なし | 改善成果の確認が必要 |
| 報告するデータ | 3項目 | 5項目 |
委員会の開催や
継続的な業務改善、
実績データの提出は、
加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の
どちらにも共通する要件です。
なお、必ず加算(Ⅱ)を算定してから
加算(Ⅰ)へ進むわけではありません。
必要な要件を満たしていれば、
最初から加算(Ⅰ)を
算定することも可能です。
年間4回の研修計画
この年間研修では、
一つの改善活動を
4つの段階に分けて進めます。
最初から大きな改善策を
決める必要はありません。
まずは現場の困りごとを見つけ、
実際の状況を確認するところから始めます。
| 回 | 研修テーマ | 研修後に決めること |
|---|---|---|
| 第1回 | 現場の小さな困りごとを見つける | 確認する困りごと |
| 第2回 | 業務を見える化する | 確認方法・担当者・期限 |
| 第3回 | 小さな改善を試してみる | 改善内容・実施期間 |
| 第4回 | 改善結果を振り返る | 継続・修正・次年度の課題 |
4回の研修をつなげることで、
「話し合って終わり」ではなく、
実際の改善活動と
その振り返りまで進められます。
なお、年間4回という構成は、
3か月に1回以上の委員会開催に合わせた
本記事独自の研修計画です。
この研修を4回実施するだけで、
すべての算定要件を満たすものではありません。
各回の研修内容と資料
第1回|現場の小さな困りごとを見つける
第1回では、
日常業務の中で繰り返されている
小さな困りごとを見つけます。
例えば、次のような場面です。
- 必要な物品を探す時間が多い
- 同じ内容を複数の場所に記録している
- 申し送りに時間がかかっている
- 特定の職員に業務が集中している
- 利用者さんを待たせることがある
研修資料では、
架空事例を使って進め方を確認できます。
実際に研修を行うときは、
可能な範囲で自施設の困りごとに
置き換えて話し合ってください。
研修後には、
次回までに確認する困りごとを
一つ選びます。
第2回|業務を見える化する
第2回では、
第1回で選んだ困りごとについて、
実際に何が起きているのかを
具体的に確認します。
- 何回起きているか
- 何分かかっているか
- どの時間帯に起きているか
- どの職員に負担が集中しているか
- 利用者さんを待たせていないか
- 二重記録や重複業務がないか
研修後には、
「誰が・いつまでに・何を確認するか」
を決めて記録します。
第3回|小さな改善を試してみる
第3回では、
確認した結果をもとに、
現場で実行できる改善策を
一つ選んで試します。
例えば、次のような方法です。
- 物品の定位置を決める
- 棚や収納場所の表示を分かりやすくする
- 物品を補充する担当や時間を決める
- 申し送りの項目を整理する
- 重複している記録を見直す
- 導入している機器の使い方を見直す
改善策を決めるときは、
利用者さんの安全や
ケアの質に影響がないかも確認します。
研修後には、
実施する担当者と期間を決めます。
第4回|改善結果を振り返る
第4回では、
実施した改善策が役立ったかを確認します。
- 作業時間は短くなったか
- 利用者さんの待ち時間は減ったか
- 安全性やケアの質は保たれているか
- 職員の負担は軽減したか
- 新しい負担が生まれていないか
- 今後も続けられる方法か
確認した結果をもとに、
次のいずれかを決めます。
- 現在の方法を継続する
- 内容を一部修正する
- 元の方法へ戻す
- 別の方法を試す
- 次年度の課題として引き継ぐ
うまくいかなかった場合も、
その理由を記録することで
次の改善につながります。
年間を通して残しておきたい記録
生産性向上の取り組みでは、
委員会や研修を開催するだけでなく、
「何を確認し、何を決め、
その後どうなったのか」
を記録に残すことが大切です。
委員会の開催記録
委員会を開催したときは、
次の内容を記録します。
- 開催日時
- 開催場所や開催方法
- 参加者の氏名・職種
- 検討した内容
- 確認された課題
- 決定した取り組み
- 担当者と期限
- 次回確認する内容
すべての発言を
一字一句記載する必要はありません。
ただし、検討した内容や決定事項、
担当者、期限、次回確認する内容が
分かるように記録します。
現場の困りごとの記録
職員から挙がった困りごとは、
できるだけ具体的に記録します。
- いつ起きているか
- どこで起きているか
- 何が起きているか
- どのくらいの頻度か
- どのくらい時間がかかっているか
- 利用者さんや職員への影響
- 職員から出た意見
「忙しい」「使いにくい」だけでなく、
実際の場面が分かる形にすると、
改善方法を考えやすくなります。
改善活動の記録
改善策を実施するときは、
次の内容を残します。
- 取り組む課題
- 試してみる改善方法
- 担当者
- 実施期間
- 改善前の状況
- 改善後の変化
- 職員から出た意見
- 継続・修正・中止の判断
うまくいかなかった取り組みも、
大切な記録です。
続けられなかった理由を残すことで、
次の改善につなげられます。
介護機器に関する記録
見守り機器やインカム、
介護記録ソフトなどについては、
安全に使用できているかを
継続して確認します。
- 導入している機器の種類と目的
- 使用する対象や場所
- 点検日と点検結果
- 不具合や故障の内容
- 事故・ヒヤリハットの有無
- 使用方法を変更した記録
- 職員から出た意見
利用者さんの状態が変化した場合は、
機器の使い方が現在も適切かどうかを
見直すことも必要です。
職員研修の記録
介護機器を安全に使用するための
職員研修についても記録します。
- 研修の実施日
- 研修テーマ
- 参加者
- 使用した資料
- 研修で確認した内容
- 参加者の振り返り
- 今後の課題
欠席した職員への共有方法も、
施設のルールに沿って記録しましょう。
実績データと提出記録
加算(Ⅱ)では、
1年以内ごとに1回、
業務改善の取り組みによる効果を示す
データの提出が必要です。
提出時期になってから慌てないように、
必要な情報を年間を通して
整理しておきましょう。
提出した内容や提出日、
提出方法も記録しておくと安心です。
本記事で配布するExcelでは、
委員会記録・困りごと一覧・取り組み管理を
一つの流れで管理できます。
担当者や期限、実施結果を記入し、
次回の委員会での振り返りに
活用してください。
資料を利用する際の注意点
本記事で配布する資料は、
介護施設における委員会や
職員研修を支援するためのひな型です。
施設名や役職名、実施日、
委員会の運営方法などを、
自施設の状況に合わせて
変更してください。
資料の使用だけでは算定できません
本資料を使用したことや、
年4回の研修を実施したことだけで、
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)を
算定できるわけではありません。
実際の算定には、
委員会の開催や安全対策、
テクノロジーの導入、
継続的な業務改善、
実績データの提出などが必要です。
必要以上の個人情報を記載しないようにします
事例や振り返りを記録するときは、
利用者さんや職員の個人情報を
必要以上に記載しないようにします。
研修で事例を共有する場合は、
氏名を伏せるだけでなく、
年齢、病歴、生活歴などを組み合わせることで
個人を特定できないかも確認しましょう。
記録上、個人情報が必要な場合は、
施設の個人情報保護方針や
記録の管理方法に従ってください。
自施設のマニュアルと照らし合わせます
介護機器の使用方法や
事故発生時の対応については、
本資料だけで判断せず、
次の内容も確認してください。
- 施設の業務マニュアル
- 事故防止・緊急時対応マニュアル
- 個人情報保護に関する規程
- 介護機器の取扱説明書
- メーカーからの注意事項
資料の内容と施設のルールが異なる場合は、
施設の責任者へ確認してください。
ファイルは使用前に確認してください
PowerPoint・Word・Excelは、
使用するパソコンやソフトによって、
文字の位置や改ページ、
表の幅などが変わることがあります。
研修を始める前にファイルを開き、
表示や印刷に問題がないか
確認してから使用してください。
最新の制度を確認してください
介護報酬の算定要件や
実績データの提出方法は、
今後変更される可能性があります。
算定できるかどうかの最終確認は、
施設の所在地を管轄する
自治体・指定権者へ行ってください。
参考資料
本記事と研修資料は、
厚生労働省が公表している資料を参考に
作成しています。
制度の内容や算定要件を確認する際は、
次の資料をご覧ください。
厚生労働省の資料
- 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)の解説
加算の目的、算定要件、単位数、委員会の開催方法、提出する実績データなどを確認できます。 - 介護サービス事業者の皆様へのお知らせ
加算に関する通知、届出書、Q&A、実績報告などが掲載されています。 - 介護分野における生産性向上について
生産性向上ガイドライン、施設向けの事例、委員会運営のポイントなどを確認できます。
施設内で確認しておきたい資料
研修や委員会を実施するときは、
公的資料だけでなく、
自施設の次のような資料も
確認しておきましょう。
- 業務マニュアル
- 事故防止・緊急時対応マニュアル
- 介護機器の取扱説明書
- 介護機器の点検記録
- 個人情報保護に関する規程
- 職員研修の年間計画
- 委員会の議事録
- 自治体へ提出した届出書類
- 実績データの提出記録
算定要件や必要な届出については、
施設の所在地を管轄する自治体・指定権者の
最新案内も必ず確認してください。


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